Production I.G にいたアニメーターの人が描いてる
まず、素晴らしいマンガです。
作者の花村ヤソさん、もともと Production I.G にいた本職のアニメーターの人なので内容がリアルです。
いや、実際に中を見たことないのでリアルかどうかは分かんないんですけど、「実際にこういう感じなんだろうな」という。
丁寧で面白い
内容が単なる人情話とか努力と根性みたいな話に陥ってなくて、アニメ業界の現実を淡々と描きつつ人間ドラマも用意されてるし、こまごまとミステリー要素も配備されてる。
職業紹介マンガの要素とエンターテイメント要素のバランスがちょうどいい塩梅。
丁寧に真面目に描いてるのにちゃんと面白いという。
主人公のキャラは元気で努力家で好感が持てるし、上司に当たる動画検査の富士さんは素敵だし、まあテンプレなキャラたちではあるんですが、テンプレの中にちゃんと生身の感じを持たそうという意識がひしひしと感じられて素敵だわ〜。
あと、この手のマンガにありがちな「見開き全部使って決めゼリフみたいなことドーンって言う」っていうような演出もなく、抑制が効いてて良いです。
とにかく真面目。あざとくない。
地味ではある
こんな感じで絶賛ではあるんですが、まあ言うて地味ですよね。「アニメ業界の新人が頑張る」っていう話なので。
バトル要素もないし、がっつりミステリーというわけでもないし、主人公が奇抜な性格でまわりが振り回されるとかでもないし。
あと、あの性格の悪い新人の男はいらんかったんじゃないかな。単に性格悪いだけで深みないし。不満点ってそのくらいか?
良い。
マンガと関係ないけどアニメーターの給料低すぎ問題について
読んでいて、マンガ自体とは別に思うんですが、たしかに作画にかけるアニメーターの人たちの努力ってすごいと思うんですが、そのせいで給料安くなっちゃってるんじゃないの? という疑問はあるんですよね。すっごいひどい言い方で言うと自己満足なんじゃないの? と。
作画に命をかけた結果、それが評価されて売上に結びつくならいいと思うんですが、実際にジブリとか京アニとかはそれでブランド作って売上伸ばしたと思うんですが、ブランド作れるレベルでないんであれば、そこは手を抜いても良いのでは。
『けものフレンズ』とか、もう動きとか完全に捨ててるけど売れたわけだし。ゲームで言えばほら、マイクラとかもいろんな部分手を抜いてるけどちゃんと売れてるじゃないですか。『クリプト・オブ・ネクロダンサー』とかも大作じゃないけど売れてるわけじゃないですか。
ちょっとこう、アニメスタジオの人たちはアイデアとか脚本の面白さとかを軽視してるんじゃないかという疑問が。そういうのを選べる立場や金銭状況じゃないというのは当然あるんでしょうけど。
でもそういう「売れる要素」を考えることを脇に置いた上で給料の低さを嘆いても、それはちょっと違うなーという。
どんなもんでしょ。