風来山・沖野真歩・すーぱーぞんび『おっさん冒険者ケインの善行』の感想

異世界ものではなく普通のファンタジーです

「異世界もの」と「ファンタジー」の区別をするのが面倒なんですが、「異世界もの」は「現実世界がある前提で、ファンタジーの世界と繋がるやつ」で、「ファンタジー」は「現実世界とかは存在しないやつ」という認識です。

で、このマンガは「ファンタジー」の方です。現実世界は存在しない。

でも、もう面倒だから全部「異世界系」にしませんか?

冒険者にランクがあるのがデフォルトの時代

主人公、Dランクの冒険者だそうなんですが、もうなんか、冒険者にランクがあるのはデフォルトなんやな。最近のマンガだと。ファンタジーと言いながらも現実の世界を反映してる感じがあって悲しいな。ランク。

なんか古い

女子キャラに関西弁の子がいるんですが、ファンタジー世界に関西弁の女子出てくるの、なんかすごく古く感じるな。90年代感。

ゴブリン当たり前に出てくる問題

ファンタジーの世界って普通にゴブリンいるじゃないですか。「ゴブリンとはいるもの」って感じじゃないですか。でも、個人的にはまだそんなに受け入れてないからね、ゴブリン。

ドラゴンはさすがに受け入れてるけど、ゴブリンって、なんか、なし崩し的にメジャーになってないか。

オークとかオーガとかは未だメジャーじゃないけど、ゴブリンはなんかもうスタンダードじゃん。

でもスタンダードになるだけのインパクトのあるザ・ゴブリンを俺はまだ見てないからね。「みんなの思うゴブリン像」が定まらないまま、「ゴブリン」という名前だけが独り歩きしている。そんな印象を受けます。

ハイエルフとかも出てくるしな。ハイエルフって言われてもねぇ。エルフとハイエルフとダークエルフの違いが分からん。ハーフエルフとかもいるじゃん。もう分かんないっすよ、そういうの。区別が。

ちゃんとしてる(生々しい)

で、このマンガなんですが、固有名詞とか設定は既存のファンタジーの借り物ではあるものの、この世界の設定というか、社会システムがどう成り立ってるかってところはちゃんと考えられてる感じがします。

教会に借金取りが来るんですが、そこで主人公のおっさん、

「そうじゃない、元金も含めた金額を聞いてる」

とか言うんですよ。

「元金」て。

「利息」という言葉は出てきても「元金」はファンタジーの世界に入り浸ってる人間には出てこない言葉でしょ。原作の人、おっさんやな。

「おっさんが主人公のファンタジー小説を、おっさんが書いてる」という現実があるんじゃないかと思うと、しみじみしてしまうな。

なんか、「ずっとファンタジー小説を読んできて育ったファンタジー大好きのおっさんが、本業の傍らコツコツと書き溜めてきた小説」って感じがします。完全に想像ですけど。

ファンタジー世界の固有名詞がなんか古いのよな。イビルドラゴンとか。ミスリルの剣とか。ワーウルフとか、ケットシーとか。

「あぶく銭」とか言うし。

なんか、お金に対する描写が生々しいんですよ。「生活」って感じがする。「ファンタジー世界のリアリティ」とかじゃなく、生活。

生きていくためにお金を稼ぐ、っていう世界観。「ファンタジーの人たちもいろいろ大変だ…」ってなりますよ。

「子どもたちが街の広場で花束や小間物を売ってるでしょう?」

とか教会のシスターが言うんですが、「小間物」とか出てこないっすよ。そんな単語。若輩者には。

他にも、

  • 上前を撥ねてくる
  • 税金
  • ショバ代
  • 違法
  • 癒着
  • カタに嵌めてる

など、およそファンタジーには似つかわしくない単語がちらほらと。ナニワ金融道の世界ですよ。

まあ悪くはないと思います

そんな地道な世界に生きる主人公だけだときついので、ちょうどいいバランスでおとぼけ三人娘パーティーが絡んできて、まあよくできてますよね。

おっさんも本当に善人で真面目なので、おっさんに幸あれ、と素直に思える作りになってます。

すごく面白いわけじゃないですけど、首根っこ掴まされて「なんかファンタジーもの読め!」と迫られたら、これの続きを読もうかなと思いました。地に足が着いた話なので、置いてかれることはないだろうなと。少なくとも。

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