YouTube で植草航監督作品を見倒す
『フリクリ オルタナ』のエンディングがめちゃくちゃ良かったんです。これ。
で、誰が作ってるのかと思ってクレジット見たら植草航さんという人が作ってるんですわ。
たぶん天才なんだろうなと思って YouTube にアップされてる動画を一通り見てみました。
その感想。
『やさしいマーチ』
やくしまるえつこ来たか。いきなりそういう感じか。
でかいバケモノがぴしゅんぴしゅんビーム出すとこのメリハリ感はかっけえと思うんですが、全体としてのテーマ? メタファー? 知らんけど、そういう「なんか深読みできそうな部分」に欠ける感じがする。
「深読みできる」って、それ自体浅い気がするのは否めないんですが、やっぱ深読みしたいっすよ。それは。数分の動画なんだから、繰り返し見て「あ、こういうことか」とか思いたいっすよ。道路で死んでるカエルがなんの象徴なのか、とか。
ちょっとそういう要素が足りない。
あともう雰囲気が初代のフリクリっぽいもんな。色使いとかバケモノのデザインとか。親和性。ベスパ乗ってるし。
女の子とカッターナイフ組み合わせちゃうあたりにちょっと寒いものを感じました。やっちゃった感。
まあでも、素敵でした。
次!
『愛と死』
おばけです。おばけと妖怪退治。
あ、以上か。単に動いてるだけだった。動いてるだけじゃ、ちょっとね。
次!
『向ヶ丘千里はただ見つめていたのだった』
長いな。5分22秒。でも見るよ。
世の中には、
- 女子高生や女子中学生がスカートを履いているときに絶対にパンツを見せない派
- 多少不自然でも積極的に見せていく派
- 動きとして自然であれば普通に見せる派
の3つの派閥があると思うんです。
個人的には「動きとして自然であれば普通に見せる派」が「正しい」と思うんですが、一方で『けいおん!』なんかに見られる「絶対に見せない!」という毅然とした態度も素晴らしいなと思うんです。
「積極的に見せていく派」の雑なサービス精神も分からないではないですが、別にそこをそんなに求めてないし、規制規制の現代、社会的正当性ゼロなので諸手を挙げて支持はできないっすよね。規制に反対するための象徴としても弱いよな。パンツや乳袋を規制反対の象徴にするのは悪手。負け戦ですよ。目立たないようにこっそりやればいいと思う。
で、この映像作品ですが「絶対に見せない派」です。そのチョイスに対して何かを書こうと思ったところまでは覚えてるんですが、ちょっと別の作業をしてたら忘れてしまいました。
とにかくこの人、ビキビキした動きとか、ぴしゅんぴしゅんいう動きとか、そういうメリハリのある動きが最高なんですよね。
あと団地ね。団地って最高っすよね。人間が生まれて死ぬまでのすべてが団地には詰まってるので。団地が出てくるとそれだけで映像レベルが底上げされるのでずるい。
ただ、この作品は正直あんまりあれですね。雑。5分22秒に引き伸ばすために映像使いまわしてる感が強い。
でもそれ以上に、テーマが分からん。「要するに何が言いたいの?」っていうのが分かんないので、見終わったあとで「で?」ってなる。
「走る女子高生と死を描きたかった」としか。それ以上のものが見えない。
「なんか頭の中で形になっていないモヤモヤしたイメージを、そのモヤモヤしイメージのまま映像化した結果、モヤモヤしたものがそのまま伝わってしまった」という感じです。整理されてない。
正直この映像見た時点で、自分の中で植村航監督天才説に陰りが。
次!
『うさぎがいいのに』
特に何もなし。
次!
カラスは真っ白『HIMITSUスパーク』ミュージックビデオ
これが圧倒的に再生されてる。代表作ってことになるんすかね。
また少女とナイフをやってしまったか。少女とナイフと走り。
映像の中に鍵がやたらと出てくるんですが、鍵が何を表してるのかがよく分からん。何の扉を開く鍵なのか。
まあなんか最後、鍵を使って大量のハートを手に入れるんですけど、そのハートが何なのかも分からんしなー。分からんことだらけだな。もうちょっと分かりやすくてもいいと思うんだ。
動きのメリハリは相変わらずよくて、そこに色使いのおしゃれ感が足されたって感じでした。雰囲気はいいんですけどねー。
次!
カラスは真っ白『fake!fake!』ミュージックビデオ
こっちの方が再生回数多かった。じゃあこっちが代表作ってことになるんすかね。
なんか、とにかく「女の子に武器もたせて暴れさす」ってのが好きなんだな。
でも『HIMITSUスパーク』よりなんかこっちの方が良いな。とりあえず音楽とのタイミングが正確に合ってるし、動きというかモーフィングというか、そういうのの意外性が増えてる。
ただ、正直飽きてきてる。この雰囲気に。全部同じ感じなので。
次!
『せいぜいがんばれ!魔法少女くるみ』オープニング
なんか一番普通の動画ですわ。普通のアニメの、比較的ポップな感じのオープニング。天才感は薄い。予算がない感じ。
結論!
悪くはないけど、思ったよりもわりと普通!
『フリクリ オルタナ』のエンディングが良かったのは、半分は the pillows のおかげだったんだなと。相性が良かった。音楽と映像との微妙なズレが逆に合ってた。
一方でカラスは真っ白の方は、音楽と映像が合い過ぎてて、結果普通に。でも、そういう「全部同じ世界感で統一されてる」って方が需要あるんだろうなとも思います。